燃える闘魂?~騙しの仕組み~【松井】
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大阪弁護士会では委員会活動というのが活発です。大橋は人権擁護委員会に属し、刑務所に服役中の人からの人権救済の申立ての調査、つまり職員から暴行を受けたなどの手紙があれば出向いて聞き取りをするといったことを行ったり、借金から逃げてホームレスになった人などのために無料法律相談で借金対策をアドバイスしたりといったことをしています。
私はというと、弁護士1年目から消費者保護委員会に属し、消費者被害事件の弁護団に参加したり、弁護士会主催の被害者説明会の開催を手伝ったりといったことをしてり、月1回の委員会に出席し、部会長のもと、情報交換や現在は来年施行予定の消費者契約法、団体訴権の勉強会などに参加しています。
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他の弁護士と話をしていると、いわゆる消費者事件は好きではない、よくやれるよねといった話しになることがあります。消費者被害と言っても、そもそも欲目を出したからひっかかっただけじゃないのか、鴨られるほうにも落ち度があるし、一概に「被害者」というには抵抗があるといったニュアンスです。
もっとも、私から大橋を見た場合でも、土曜日の晩にホームレスの人の夜回りをやったりと、よくそこまで出来るものだと関心します。
言えることは、こういった活動をしている弁護士はこれを収入に結びつけるなどということはこれっぽちも思っていないということです。
なのに、なぜ、きみはいくのか、そんなにしてまで♪
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消費者事件に関わるのは、単純に、騙す方が許せないというただそれだけの思いだと思います。騙す方は、騙される方の知識のなさ、押しの弱さなどを巧妙に利用しています。知識がない方がおかしい、悪いという見方をされがちですが、「そもそも騙す方が悪い」というこの信念で動いていると思います。
大阪市には消費者センターというものがあります。相談員の方々は、消費者からの電話相談などに無料で、熱心に、親身にのっています。発想は、なんとか助けられないだろうかというものです。その原動力はやはり、業者ー消費者という構図の中で業者がまずきちんとすべきという思いでしょう。もちろん一方で、消費者も情報を持ちましょうということもいえると思います。
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最近、あった騙しの仕組みです。とはいえ、やはりまた布団モニター商法のダンシング事件などと同様、信販会社が金の出所として悪用されています。
レンタル会社 30
販売店 100
消費者 10 信販会社
5(×22)=110
消費者は、騙し人Xから、販売店から絵画、宝飾類などを購入するように勧められます。仕組みは、こうです。販売店から物を買うかたちであるが、手元に商品はこない。これはそのまま、レンタル会社にレンタルする。レンタル会社は、あなたに月々の賃料というかたちでお金を振り込みます。
商品は、70万円、80万円です。なに?!まとまったお金がなくても大丈夫。信販会社のこの契約書に署名・押印すれば大丈夫。あなたのもとに信販会社から月々の請求がありますが、レンタル会社からの賃料で賄える金額です。さ、この契約書とこの契約書とこの契約書に署名してください。
つまり、こういうことです。こうして信販会社から、100のお金を引き出します。このお金は加盟店の販売店に入ります。で、この仕組みでは必ず、販売店からレンタル会社にお金が流れています。レンタル会社には仮に30のお金が入ります。レンタル会社はこのうちから、最初の100からすれば絞りかすのような10のお金を消費者に振込ます。
そして、消費者に対しては、信販会社からの月々の請求は5しかないので、入る10から5をひいても、あなたの手元には5が残るという説明をするのです。
しかし、ポイントはこの信販会社からの請求は、「月々5」というところです。5の裏には、信販会社のもうけを上乗せした22という分割回数、すなわち110という数字が控えているのです。
ここで想像してみてください。レンタル会社からの振込みの10が消えたら、どうなるかを。
仕組みとしては、当然、レンタル会社は早晩、行方をくらませることになります。
現に、くらましています。株式会社を名乗っていましたが、そもそも会社として登記されていなかった可能性が高まっています。となると、ことは簡単、全て初めから仕組まれた騙しのカラクリです。
金の動き、誰がもうかるのかをかんがえれば、カラクリは簡単です。
ちなみに、ダンシング事件では、こんなレンタル会社なんてものは登場せず、もっと単純に、加盟店から消費者のもとへお金がいく仕組みでした。
しかしこれについては、高等裁判所で、早晩、破綻必至の仕組みとされてます。
じゃあ、レンタル会社をかませればよいのかという問題です。
そしてさらに考える必要があるのが、なぜ消費者が、考えれば分かるこんなカモにされる話しについて、各社との契約書に署名しているのかということです。
レンタル会社からの10と信販会社への支払い5の収支を考え、5で儲けられるなどと本気で思って契約しているのか否かということです。
ダンシング事件の場合もそうでしたが、ここでまた巧妙にとにかく契約書に署名させるのです。
まずは人と人との繋がりが利用されます。
断れない状況にもっていきます。
そのうえで、損することはないという説明です。
「少なくとも損をさせられることはないだろう。」「害まではないだろ」、消費者は、自分で自分をこう思いこませて、最後のジャンプをしてしまうのです。
こんな構図のもとでいわば食い物にされた消費者が信販会社に110を支払う義務があるのか。
おかしいんじゃないの!?本当に儲けているのは誰なのか?黒幕は?
儲けるなら正々堂々と。
これが消費者問題に関しての、燃える闘魂の火種となっているのだと思います。
(おわり)
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