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2006年3月

2006年3月21日 (火)

相続分野集中研修第3回~なめたらいかんぜよ、だっけ?~【松井】

1 先日、弁護士会主催の「相続分野集中研修第3回」に出席しました。この日は非常に楽しみにして出席しました。講師二人は、大阪家庭裁判所で遺産分割を担当する現役裁判官だったからです。裁判所のものの見方を改めて探る貴重な機会でした。
 予想に違わず中身の濃い、非常に役立つ研修でした。

2 そして二人の裁判官が共に同じ趣旨のことを言っていたのが気になりました。私のこれまでの経験からしても、やはりそうだよなと大きく頷く発言でした。
 白井裁判官「遺産分割事件は、『常識で考えたらある程度分かる』というものではありません。」「非常に専門的な知識が必要な分野なのです。」
 西垣裁判官「『相続事件は弁護士なら誰でも普通にできる』といわれるような事件ではない。専門知識が要求される分野である。遺産分割事件は、非常に怖い。単に、争点が多い民事事件というのではない。」代理人になる弁護士は、勉強、工夫、努力をする余地がもっともっとある、といった趣旨のことを仰っていました。

3 昭和55年ころ、なめ猫ブームというのがありました。子猫に暴走族の服を着せて、立たせ、「なめんなよ」というフレーズをつけるのです。あの猫の姿が頭に浮かびました。また、何かの映画のセリフだろうと思うのですが、「なめたらいかんぜよ」という言葉も頭に浮かびました。
 そうです!相続事件、遺産分割事件、そして遺言事件をなめたら痛い目に遭うよということです。
 私は弁護士一年目のとき、たまたまですが遺産分割審判事件の即時抗告審を担当したり、公正証書遺言の作成が出来なくなってしまうという経験をしました。即時抗告審を担当したことにより、調停、審判を担当していた各弁護士、裁判官の一連の流れを「あら探し的」に検討する機会を得ました。また遺言についても、いかにそれが重要なもの、内容のみならず、作成過程からしていかに細心の注意を払うべきものかを学びました。そして遺産分割の調停や、遺留分減殺請求訴訟、あるいは遺産の範囲確認の訴え、遺言無効確認訴訟といった事件に多く携わることができました。
 結果、思うのは、確かに、弁護士でももっと努力すべき余地のある分野だということです。

4 審判書を得て、相手方が即時抗告をし、その段階で弁護士が代理人に就きました。書面を読んで冗談かと思ったのは、不動産の分割方法について「共有が原則である」と書き記されていたことでした。遺産の分割方法はまた別の話です!またそもそもその事件は遺産の範囲についても争点となっていたのですが、審判官は敢えて審判をしてくれました。相手方の主張は、貸金債権があるというものでした。この点を即時抗告審でまた主張しているのです。仮に貸金債権であったらな、そもそも可分債権であって相続時、当然に法定相続分によって分割されています。よって、合意がない限り、審判の対象になることはありません。もちろんこちらは合意しません。何のために即時抗告審で熱心に主張されているのかその意味が分かっているのだろうかと悲しくすらなりました。
 また最近では、一人の相続人に全てを相続させるという遺言がありながら、遺産であった土地に法定相続分で相続登記を行った、さらにはその土地について共有物分割請求訴訟をしていた!という方から相談を受けました。この方が費やしたお金の意味を考えると、これもまたやるせない気持ちになりました。

5 今回の集中研修で特別受益のところについて最新の動向を確認することが出来ました。質問タイムはなかったのですが講義終了後、駆け寄って質問させていただくと、ご丁寧に最近の大阪高裁の傾向といったことまでいろいろと教えていただけました。
 白井裁判官が仰っていたように、相続分野は、まだまだ裁判例が少なく、文献もあまり充実していません。ただ、ここ数年でいろいろな最高裁判例が出て、動向がはっきりしてきている面もあります。
 いつもいく美容室の美容師さんと話していて、言われました。「相続なんて、相続分は決まっているんだから、そんなに難しいことはないんじゃないの。」。
 違うんです。まだまだ実際は、舗装されていないでこぼこ道路を走り抜けないといけない状況で、走り抜くためには常に穴ぼこを確認し、給油を怠らず、そして何よりもゴールを見定めていないと走り抜くことは出来ないんです。脇道にそれて谷底に落っこちてしまうんです。専門知識としての技術がいるのです。自分自身、さらにドライビング・テクニックを磨き、安全に、快適に、そして迅速に依頼者を目的地にエスコートできるように精進せねばとの思いを新たにしました。よろよろ運転をしている車に巻き込まれないように気を引き締めて。

6 ところで。今年になって何かと話題になっている京都のカバン屋さん、「一澤帆布」の相続騒動?について、長男の目的、ゴールは一体なんなのでしょうか。事業承継と遺言のリスク、そしてその回避の仕方について、また考えていることをアップしてみたいと思っています。
以上
*おっ!大橋弁護士がブログをがんばっている!そして、今日はこれからいよいよ「アンフェア」の最終回。黒幕は果たして誰か?!これまでの展開からすれば「安藤」が黒幕でもおかしくない!

2006年3月 7日 (火)

法律は、作られる、変えられる~相続税の連帯納付義務~【松井】

1 以前、会社のことは株主総会で何でも出来るというようなことを書きました。それは国政についてもある意味、いえることです。法律については国民が作ろうと思えば作れて、変えようと思えば変えられるのです、ある意味。

2 相談を受けたとき、そんな条文があるのかと驚き、おかしいんじゃないのかと思っていた条文があります。

 相続税法(連帯納付の義務)第34条 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。

 相続人は「互いに連帯納付の責めに任ずる」のです。自分は支払ったけど、他の相続人で支払わない者がいるとき、その者の分についても責任が生じて支払わないといけないのです。
 変だと思いませんか。
 この条文については確か、裁判で争っているグループがあったはずです。大阪高裁では敗訴したようですが、その後の最高裁の判断はどうなっているのでしょうか。

3 日本弁護士連合会では、先日、この条文について「廃止すべき」との意見書を発表しました。
 この動きがもっと大きくなり、条文廃止につながればと願っています。

4 おかしな法律、条文があるとき、確かに一つは裁判で争うという方法があります。最終的には違憲判決をもらうことになります。しかしそもそも法律って、国民の代表者である国会議員からなる議会で作られたものです。
 いったん作っておかしかったら、そこでまた修正するなりしたらいいじゃんというのが基本だと思います。
 国会、議員を動かすのです。そのために必要なもの。それがいわゆる世論です。世論を形成するために必要なもの。それが言論です。
 でも実際のところ、いわゆるロビー活動だったりするのですが。
 さらに議員を動かすのに手っ取り早い手段だと金銭を渡すとこれはまさに犯罪となります。

5 適当な法律を作る、作ってもおかしければ直す、あるいは削除する、これが基本だと思います。
 現在、平成12年に施行された消費者保護法の改正作業が進められています。いよいよ団体訴権制度が導入されます。これがうまく機能するのか否か。改正の法案だけを見ていると、まさに消費者団体規制法のようですが、実は使える条文があるのかもしれません。 法律、条文は使われてこそでしょう。
 ちなみに、最近聞いた話では、平成16年施行で改正された民事執行法の内覧制度について、大阪地裁レベルでは申立があったのはこの2年間でたったの1件だったそうです。まさに制度を用意したけど市場にそっぽをむかれた制度です。
 また大改正としては、いよいよ「会社法」がこの5月から施行されます。弁護士も準備におおあらわというのが実態かと思います。
 inputの勉強を疎かにする弁護士も市場からそっぽをむかれてしまうことでしょう。条文を使えない弁護士は、まさに「使えない弁護士」ってことですかねぇ・・・。

孫引きですが。加藤雅信教授が紹介している言葉です(判例タイムズ1197,25)
「法律学は、
『実現すべき理想の攻究』を伴はざる限り盲目であり、
『法律中心の実有的攻究』を伴はざる限り空虚であり、
『法律的構成』を伴はざる限り無力である」
(我妻榮「近代法における債権の優越的地位」(有斐閣、1953))

「理想の攻究」がなければ、連帯納付の条文も受け入れちゃうんでしょうねぇ。また改正された消費者保護法や新設の会社法の「理想」は何なのか。

おわり

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