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2006年2月 5日 (日)

遺言無効確認請求事件の研究(上)(判例タイムズ’06・1/15号)【松井】


 先週、裁判所を出たところで、障害者学生無年金訴訟の敗訴判決についてのビラを原告・支援者の方から受け取りました。
裁判所の判決に対して、「不当判決」といった言葉を聞く度に思い出すのは、次の出来事です。
 司法試験合格後、修習に入る前、裁判官の方と話す機会がありました。どういう話の流れだったかは忘れましたが、その裁判官が言うには、判決を出した後、「違法判決」と言われると困るけど、「不当判決」と言われるのはある意味、仕方ないといったことでした。敗訴した方は納得していないので、判決のことを「不当」と称するのはある意味、当然のことだろうといった意味だったように思います。
 「違法」と「不当」。違法じゃなければそれでいい、「不当」と誹られようが構わないという趣旨ではもちろんないとは思いますが。


 月2回発行されている判例雑誌、判例タイムズの今年の1月15日号では、大阪地方裁判所の若手裁判官ら10名による「遺言無効確認請求事件の研究(上)」が掲載されていました。

 過去の遺言無効確認請求事件を研究した結果の報告です。
 なぜまたこの時期にこのような研究、発表になったかというと、もちろん、
「当該遺言によって不利益を受ける相続人ら原告となり、当該遺言によって利益を受ける相続人らが被告となる遺言無効確認請求事件もまた増加することが容易に予想できる。」(43頁)からです。

 1月、関西の地元情報テレビ番組に出演させてもらい、「遺言と相続」について話をさせてもらいましたが、本当に世間の人に一番言いたかったことは次のことです。

 「遺言を作るなら、弁護士に支払う費用がかかっても、弁護士に相談してください。」

 ということです。ちまたのネット社会では、弁護士以外でも遺言・相続相談に応じる旨が広告されています。内容は確かに充実しているし、資格を持たれた方が費用をとって相談に応じる以上、間違ったアドバイスなどはしていないかもしれません。

 遺言無効確認請求事件の訴訟代理人を経験する弁護士として強調したいことは、遺言というのは単に作ればいいというものではないということです。
 亡くなってから、相続人らの間で無効確認請求訴訟が起こされるなんて、何のために遺言を作ったのか分かりません。かえって紛争を一つ余計に増やしただけのことになってしまうのです。遺産分割協議だけで済んだのが、へたな遺言があったばかりに無効確認の訴えが起こってしまう、無効になったら、ここから遺産分割協議です。

 遺言を作るにあたっては、後日、無効とされないように、また内容面で解釈等について余計な紛争が起こることのないように確実に準備をせねばなりません。
 例えていうなら、契約交渉をふまえ、ありとあらゆる場面を想定して、対策を考え、契約書の文言を練り上げる作業ともいえます。

 書店のあんちょこ本をちょろっと見て勉強して本当に完璧に遺言書が作れるのなら、遺言無効確認請求事件なんて起きません。
 しかし、裁判所は、今後、遺言無効確認請求事件が「増加することが容易に予想できる。」と言い切っているのです。

 弁護士・法律事務所はやはり行きづらい、敷居が高いのでしょうか。
 費用をふんだくれられるんじゃないかといった不安もあるのでしょうか。
 最初の相談は時間制での費用請求ですし、昔は紹介者のいない方からの相談はお断りしている事務所が多かったようですが、現在はうちのようにホームページを持ち、ネットからの相談予約も受け付けているようなところも増えています。

 裁判で争われることのないよう、紛争予防のためには、裁判のプロの弁護士を活用して欲しいと思います。
 本当は、これをテレビで言いたかったです。

 テレビ番組での相続の紛争再現VTRとそのコメントでは、行政書士の方が相続のプロとしてコメントされていて、正直なところ不思議な気がしました。でも、あれは私のところへ出演の話しが来る前に、番組製作の方がすでに行政書士さんから相続問題の取材、撮影をしていたので、私が、「相続人が増える事例は、いったん起こった相続について協議をきちんとしないままにしていて、その間にまた相続が起こってしまったような場合がほとんどですよ」、あるいは、「筆跡鑑定って裁判ではそれほど信用性は確立していませんよ」などと水を差すことはできませんでした。番組製作の方もなぜ最初に弁護士に取材に行かないのか、不思議でした。敷居が高い?!



 さて。遺言無効確認請求事件において、「当該遺言が無効であるか否かについて判断するためには、遺言者の遺言時における精神上の障害の有無、内容、程度といった医学上の評価から、遺言者の遺言時の年齢、遺言時及びその前後の状況、遺言をするに至る経緯、遺言の内容、遺言の効果等までを子細に検討する必要があり、裁判所は困難な事実認定をせまられる。」とあります(44頁、前記)。「しかも、当事者の関係は良好でないことが多く、争点とは必ずしも関連しない事実をめぐって当事者が激しく対立する場面も見受けられる」(同上)とあります。

 メモ用に以下、項目だけ、上記研究報告から引用しておきます。

事実認定上の問題点
1 遺言書の成立要件
   自筆証書遺言
    作成者が争点となった裁判例
     遺言の内容
      以前にした遺言の内容との整合性
      遺言者の従前の発言・意向との整合性
      遺言者と相続人との関係との整合性
      遺言の目的である財産内容との整合性
      その他
     筆跡の類似性
     筆跡の特徴
     自書能力
     作成可能性、偽造可能性
     遺言者の言動、被告の言動
     遺言書発見の経緯
    遺言書が判読できないことが争点となった裁判例
    作成日付の誤記が争点となった裁判例
    遺言書の加除その他の変更方法が争点となった裁判例
    遺言書への署名押印方法が争点となった裁判例
    共同遺言であることが争点となった裁判例

   公正証書遺言
    証人の立会が争点となった裁判例
    口述が争点となった裁判例
     口述の不存在が争点
     遺言書又は原案が口述以前に作成されていた場合
     遺言者が受動的に応答したにすぎない場合
    読み聞かせ、承認が争点となった裁判例
    署名が争点となった裁判例
    公正証書の作成状況を認定するに当たっての証拠方法

2 遺言内容の確定

以上

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