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2006年1月23日 (月)

月刊大阪弁護士会~新連載「遺産分割」~【松井】

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 大阪弁護士会では、「月刊大阪弁護士会」という冊子が大阪の全弁護士に配られています。
 その中で9月から、大阪家庭裁判所の裁判官による「遺産分割 知って得する基礎知識」が連載されています。
 12月号では、「債権債務の処理Ⅰ」が掲載されていました。

 まさに基礎知識なので中身をちょろっと紹介しておきます。

1 債権、債務
 預金債権や住宅ローンといった債務については、「可分債権」と言われ、相続発生と同時に、各相続人の法定相続分に従って当然に分割され、相続されると言われています(債 権当然分割論)。
 つまり、原則として、遺産分割審判において家庭裁判所が分割方法を定めることはないとされています。1000万円の預金債権があって、相続人が子ども二人だったら、当然に500万円宛相続していることになるということです。債務の場合も同じです。

2 立替入院費、葬儀費用
 立替入院費は、本来、被相続人が負担するものを立替えたということになるので被相続人が負債を負ったまま亡くなった場合と同じであり、相続債務となります。よって、相続人が法定相続分に応じて相続していることになります。

 また、葬儀費用については、被相続人が亡くなった後に発生したものですので相続債務ではありません。他の相続人との間で精算義務があるのか否かの争いになります。葬儀費用を出費したら、当然に遺産からこの分を先に回収できるというものではありません。裁判所が審判においてどうこうすることも出来ません。なお、葬儀費用については喪主負担との裁判例があるようです。

3 相続人間の合意
 もっとも、上記問題については、一挙的解決のため、実務上の取り扱いでは、相続人全員が、これらの債権債務も含めて遺産分割協議を行うことに合意すれば、取り込んで分割協議することが可能です。ただ、債務については債権者を拘束するものでないことはもちろんです。
 但し、さらに手続きが、調停手続きから審判手続きに移行してしまうと、債権については相続人の合意があればともかく、審判事項に限りがあることから、債務については裁判所が判断することは出来ないとされています。


 私の経験からしても、葬儀費用についてはだいたい遺産において支払うということで相続人間で合意出来ることが多いです。但し、領収書のチェックが当然入りますが。またそれ以外の事柄についても、審判手続きにおいて、争点について適宜、一部合意のようなものを積み重ねていったうえ、最終的な審判を得て、紛争終結に至ったケースもあります。 遺産分割の審判手続きにおいては、裁判官の審理整理の能力が重要だと思います。
 
 ところで、先日、審判手続中のケースにおいて、審判官から、争点の整理と争点に対する裁判所の見解と称するペーパーを受け取りました。当事者主義が色濃い領域において、「争点の対する裁判所の見解」を審判前に出す意味はどこにあるのか強く疑問に思いました。またこの見解が、既に指摘している最高裁判例における遺言解釈の指針(被相続人の真意の探求)を踏まえていないものであるだけに、審判官がいかなる考えでこのような見解を当事者に表明したのか問い合わせしてみようと思っています。
 当初、公正ではないということで「忌避」といって裁判官を変えてくれという手続きをとろうかと息巻いたのですが、そこは弁護士複数人の事務所のよいところで、大橋弁護士に意見を聞いたところ、冷静な意見を得ることができ、より柔軟な対応をとることにしました。
 
 いずれにしても遺産分割調停あるいは審判手続きにおいては、裁判官の全人的な力がまさに試されています。過去にも、何年と解決しなかった事件が、新たに担当となった審判官の人間としての力、機転によって、終結に至ったこともありました。あの努力には頭の下がる思いでした。
 紛争を解決するためにはどうすればいいのか。それは何を言うかといったことだけではなく、どのように伝えるか、人間の感情への配慮が重要です。
 まったく・・・。
 家庭裁判所の審判官は、人間が出来た人じゃないと、審判官がかえって紛争をこじらせたりしてひどいことになってしまいます。大変な仕事です。
 思うに、大上段に法律論を振りかざすより、じっくりと当事者の言葉に耳を傾ける裁判官のほうが全員にとって良い結果が得られるように思います。
 弁護士にも言えることだと思います。
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*写真は意味なく、四日市名物の大入道です。怒ると首が伸びます。確か。

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