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2005年12月11日 (日)

二つの鍵穴~分譲マンションの謎~【松井】

CIMG0900
写真に写るのは、とある分譲マンションの玄関オートロック設備です。住民は、この鍵穴に鍵を入れて回し、オートロックの玄関扉を開けて中に入っていきます。
右穴には「住戸用」と書かれています。

CIMG0901
では、その左側の鍵穴はいったい何?
見にくいかもしれませんが、「関電用」と書かれています。
「関電」といえば、関西地方では関西電力のことを指します。
なぜに分譲マンションのオートロック設備に関西電力のための鍵穴があるのか?

住民とは別に、関西電力の人が自由にマンション建物内に出入りするためでしょう。
ちなみに「大阪ガス」用、水道局用の鍵穴はありません。

なぜに関西電力のみが分譲マンションに自由に出入りする必要があるのか。
それは、分譲マンションの施設内に関西電力の設備が置いてあるからです。

分譲マンションに暮らす人は確認してみてください。
マンション建物内あるいは敷地内のどこかに「電気室」という部屋があるはずです。

この電気室の中には、電力会社がマンションの住人に100Vでの電力を供給するためのトランス(変電機械)が置いてあります。
この変圧器は、一戸建ての住人への電力供給の場合は電信柱にとりつけてあります。

いずれにしてもこの変圧器は電力会社が電気事業法上の電力供給義務を履行するための設備であり、電力会社の所有物です。

分譲マンションの場合、なぜにこの電力会社のための機械がマンション内の施設に置かれているのか。

だいたいにおいて、電力会社は、分譲マンション建設の際、デベロッパーから、敷地・建物内にトランスを置いていいよ、設備を使っていいよという「承諾書」を差し入れさせているようです。
また電力会社は、この慣行?は、電気供給約款にも基づくといっているようです。

ではこのトランス、電力会社が電気供給義務を果たすための設備のために分譲マンションが電気室を提供するにあたって、その電気室、だいたい車2台分くらいのスペース、の利用料はいくらでしょうか。

電力会社が電柱を他人の敷地に置く場合、当然、電力会社は使用料を支払っています。
では、電気室を使う場合の使用量は?

実は、これが「無償」となっているようなのです。
先の「承諾書」の定型書式にも、マンション住人は「無償」で電力会社にトランスを置くためのスペース、設備を提供しろといったことが記載され、さらには省庁の認可のもと規定されている約款においても「無償」が謳われているのです。

これはどうしたことでしょう?!


冒頭のマンションでは、電力会社の設備がマンション内に置いてあり、電力会社の担当者がこの機械のメンテナンス等のために自由にマンション内に出入りする必要があることから、玄関オートロック設備のところに、わざわざ電力会社のためだけに「関電用」などという鍵穴が設けられていたのです。

マンション住人は、関電が電気供給義務を果たすための設備について、関電に「無償」で電気室を使わせることを「承諾」しているのです。

電気室にかかる固定資産税、補修費用について、もちろん関電は負担してくれません。


実は分譲マンションではこんな慣行がまかりとおっているのに、このことが実態としてほとんど知られていません。

この「無償」借室条項は、消費者契約法10条でいう、無効な不当約款にあたる蓋然性が高いと考えるのですが、今後、この問題はどのように表面化し、解決されるのか。

私は、第2の大学入学金問題、あるいは敷引問題になるとふんでいるのですが、どうなんでしょうかね。


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