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2005年8月12日 (金)

交渉 ~POWER OF NICE~ 【松井】

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弁護士が交渉ごとを担当するとき、相手が弁護士でないとき、常に脅すようにして何も話をする訳ではない。
一人の相手方として話をしているはずだ。ただ違うとしたら、交渉が決裂したときの次の法的な手段を考え準備はしているから、強気であったり、逆に弱気であったりということがあるくらいだろう。
仕事なので、強気に出たらどうか、それとも下手に出たらどうか、相手はどのような反応をするのかということを計算し、演じるだろう。
また場合によっては、即交渉を打ち切り、法的手段をとることも、もちろんある。
一方、お願いをするとき、協力を依頼するときはもちろんそのことをわきまえているはずだ。

交渉ということで、最近気になっていたのは、、
日経ネット 「(8/2)中国海洋石油、ユノカル買収を断念・米議会の反発で」というものだ。

「ユノカル取締役会は提示された条件を比較、一時、シェブロン支持からCNOOC支持へと乗り換えかかったが、CNOOCから米議会の説得役を求められ、取りやめた。」

中国海洋石油は、ユノカルの買収にあたって、シェブロンの提案額を大きく上回る185億ドルを提案していたという。シェブロンの提案は10億ドルだったらしい。
そこで、ユノカルは、シェブロンではなく中国海洋石油に身売りを決断しそうになった。しかし、中国海洋石油がアメリカの石油企業を買収することに対して、アメリカの議会などから反対の声があがった。
これに対して、中国海洋石油は、新聞広告をうち、この買収はアメリカ国民の利益を損ねるものではないことをアピールした。
一方で、中国海洋石油はユノカルの幹部に対して、対議会対策を要求したという。
一部の報道では、このような要求に対して、ユノカルの幹部がへそを曲げ、交渉決裂となったということだ。

つまり、交渉は、一要素では決まらないということだ。経済的な利益、値段だけでは決してまとまらない。当たり前だけど。
これほどの大きな交渉においても、人間くささが見える。実際のところは、やはり政治的なことだったのかもしれないけど、
一部の報道であった、中国海洋石油がユノカル幹部に米国議会の反対意見を押さえ込むようにと要求し、これに幹部が怒ったという報道に興味を持つ。

「なんでそんなことをえらそうにこっちに言ってくんねん!あんたの国はそれで通じるかもしれんけど、ここは中国ちゃうねん、アメリカやねん。議会が口だししてくることそりゃ、今回、ことがことなだけに、あるやろうけど、その口封じを何でうちがせやなあかんねん。金だしゃ、誰でも人が自分の言うことをきいてくれると思ったら大間違いやで!」といったところなんだろうか。

興味深い経緯だ。
真実は分からないけど。

人は、やはり感情の生き物だ。
交渉も感情だ。単純な数字の計算、損得だけではないとうことだろう。

交渉時、カッとなることがあってもよほどのことがない限り、ぐっとこらえる。
でも、この人との交渉の成否がこちらの利害に何の影響もないと分かっているときは、この人との関係は切っていこうと腹で考える。
なぜなら。
相手の感情を考えない言葉を口にするような人物を人として信用できないからだ。
その相手は、自ら作らなくてもよい敵を作ったことになる。
ユノカルも、中国海洋石油を信頼できないと判断したんだろう。

信頼できないということはどういうことか。
この人とは仕事をしたくない、ということだ。
つまり、きっとそのうちもっとイヤな目に遭わされるだろうという危険予知なんだろう。

昔読んだ、イギリスの法廷弁護士の本(弁護のゴールデンルール)に書いてあった。

法廷では常に好人物たれ、と。
適性証人に対しても、その人をいじめていると見えるようなことは決してするな、と。

また最近買って途中までしか読んでいないアメリカの弁護士の交渉本の原題は、

「POWER OF NICE」 だ。

偉そうな態度、相手を不愉快にする言動をとって得することなんて結局ないってことだろう。


なぜ今日、こんなことを考えたかというと、今日初めて電話で話した相手から、思わぬ敵意をあらわにされて、とってもイヤな思いをしたから。
あそこにお金を落とすことは決してしないようにことを運ぶと堅く決心した。
あそこじゃないとこっちが困る理由は何もないから。
こう考えると、今日の電話の相手は、経営者としてはいまいちということだろう。「いい人力」がなかったということか。トップがこれでは会社としてのサービスも推して知るべし。


と、ここでブログを締めくくったらただの悪口日記になってしまうので、最近ずっと考えていた心和む事柄を。

朝、事務所に出る前にコーヒーを買うのが習慣となった。
テイクアウトで、カップを事務所の自分の席に持ち込み、朝の仕事前にちょっと一息つく。これは、たまたま事務所の近くに出来た大阪証券取引所ビルの1階に上島珈琲がテナントとして入ったので、ここに立ち寄って、コーヒーを買うことが習慣となっただけにすぎない。
ほとんど毎日のように通い、そのうち頼むコーヒーも、「ミルク珈琲、ホット、レギュラーサイズ、テイクアウト」に決まる。
するといつの頃からか、20代の女性店員さんが、珈琲を渡してくれながら、「いつもありがとうございます。」と声をかけるようになった。
しかも、そのうち、注文しようとレジに並ぶと、顔を見ただけで、「いつものものでよろしいですか。」と声をかけるようになった。
朝、清々しい思いで事務所のビルに入る。

何が清々しいかというと、その努力だ。
レジに並ぶとき先客がいて、先客が注文しようとすると、彼にも、彼女は、「いつものものでよろしいですか」と笑顔で訊いていた。
朝、毎日この店に立ち寄る客のいったい何人の顔と頼む珈琲を彼女は覚えているのだろうか。
これで彼女が掴んだ客の数は、まさに数知れないだろう。
私が何か会社のオーナー経営者だったりして人材募集をしていたら、まず彼女をスカウトする。

相手の感情をおもんばかることを知らない50過ぎのオーナー経営者と
客の心を掴む努力を怠らない20代の女性アルバイト店員。

この違いは一体どこから生まれるのか。
意識の高さ、志(こころざし)の違いなんだろうなぁ。

NICE よい人であることの力だよ、付け焼き刃じゃいかんだろうな。

「弁護士=変人」らしいし。しかし、彼の言葉では、弁護士<医師 らしいしなぁ。彼と一緒に働くお医者さんが可哀想だ。

やっぱり笑顔で、敬意をもって。これが基本だ、改めて実感。


♪♪
釣りに行こう  釣りに行こう
    雨がやんだら迎えに行くね
釣りに行こう  釣りに行こう
    いつもの場所へ迎えに行くね 
                 ♪♪
(宮沢和史 THE BOOM)

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