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2005年7月 1日 (金)

後からでも、何でもできちゃう、すごいぞ株主総会【松井】

osaka-shoukentorihikijo


新しい会社法の法案が国会で可決されました。
来年から施行予定です。
私もまだ不勉強ですが、株式会社設立の際に必要とされていた1000万円以上の資本金の要件がなくなるなど従前の制度を抜本的に変えているようです。
これまでいったい何だったんだと思いますが。

実務では、メジャーな判例紹介雑誌が二つあります。
一つは、月3回発行されている「判例時報」という雑誌、
もう一つは、月2回発行されている「判例タイムズ」という雑誌です。
弁護士はだいたい、最低これらを定期購読し、最新の裁判例をチェックしています。
さらには、「金融法務事情」、「NBL」といった雑誌があります。

判例タイムズ(「判タ」と略称されています)の6月15日号で、株主総会に関する最高裁判例が紹介されていました。

先日、大手上場会社の株主総会の開催がピークだったということで新聞をにぎわせていたところ、取締役の報酬について個別の金額をオープンとする動きも出てきて、この点、各社の総会決議の結果が一覧で報じられたりもしていました。

株主総会。

今年、ライブドアvs.フジテレビの騒動により、「会社は誰のものか?」という議論が流行りました。
会社の行方を最終的に決める権限を持つのは、株主です。従業員ではありません。そういう意味では、会社は法律上はやはり「株主」のものになるのだと思います。

ただ、株主といっても一人一人に権限が平等にあるわけではもちろんありません。
数の世界、数が力の世界です。何株もっているか?それが勝負を決します。
なぜなら、多数決の世界でからです。

株主は、その会社に自分のお金を注ぎ込んだ人です。金を注ぎ込んだ人こそ、その会社の行方に利害があるわけであり、決定権をもつ。その株主の中でも、より多くの金を注ぎ込んだ人、より多くの株を持つ人の意見が、会社の行方を決めるにあたり反映されるべきというのは、しごく当然、単純な考えです。

株主総会は万能だよ、ということを改めて確認した最高裁判例が平成17年2月15日判決です。

商法269条では、株式会社の取締役の報酬は、定款に定めてあるか、株主総会の決議がないと会社は、支払ってはだめと決められています。定款も決議されるのは総会なので、結局、株主総会で決めなさいねとなっています。
なぜ、取締役が決めたら駄目なのか?自分の報酬は1億円ね、と決めたら何が不都合なのか。
会社の財産、お金は、究極的には株主の出資からなります。極端な話、取締役は、会社の財産、つまり株主の財産を食いつぶすことも可能なのです。なぜか?自分の腹は痛まないからです。会社の財産の半分は自分の報酬ね、といってもらうもんをもらって辞めることもできることになります。

そこで商法は、取締役がこういうことを出来ないようにと、会社が取締役に支払う報酬は株主さんが決めてね、としました。「お手盛り禁止」が趣旨といわれています。

ところが、問題となった会社では設立以来、定款に定めがなく、また株主総会決議もないままに約5年間にわたり、役員報酬として会社の金から、5000万円以上を取締役らに支払っていました。

会社は、取締役からこの金を取り戻すべきなのですが、もちろん会社を経営している取締役達はそんなことはしません。そこで一部の株主が、会社に代わって訴訟を行う株主代表訴訟によって、取締役らに受け取った報酬を会社に返せという裁判をしたのです。

ところがなんと、取締役らを助けようとする大株主さんらがいました。
訴えが起こされた約3か月後には、株主総会が招集され、設立時に遡って効力が生ずるものとして取締役らの報酬を定める総会決議を可決したのです。

大阪高等裁判所は、この総会決議は取締役の責任を免除する決議ではないので、取締役らの法令違反行為(総会決議なく、会社の金を報酬として支給したこと)による会社の損害は変わらないとして、株主の訴えを認めました。

しかし、最高裁判例は、この判断をひっくりかえしました。

「総会決議の決議を経ずに役員報酬が支払われた場合であっても、これについて後に株主総会の決議を経ることにより、事後的にせよ上記の規定の趣旨目的は達せられるものということができるから、当該決議の内容等に照らして上記規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払いは株主総会の決議に基づく適法有効なものになるというべきである」と判示したのです。

また、そもそも、この総会決議は、取締役らが、自分たちが訴えられたことをもって、対抗策として開催、決議されたものです。
こんなあとから取り繕うようなことを認めていいの?!という素朴な疑問に対して、最高裁はこうこたえています。

本件決議に本件訴訟を上告人らの勝訴に導く意図が認められるとしても、それだけでは上告人らにおいて本件決議の存在を主張することが訴訟上の信義に反すると解することはできず、他に上告人らが本件決議の存在を主張することが訴訟上の信義に反すると認められるような事情はうかがわれない。」

訴訟上の信義。
民事訴訟法2条 「裁判所は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない」。

やっぱり株主総会、最高!

この代表訴訟をやった株主さんの悔しさは、結局、数には勝てなかったということになるんでしょうね。
ただそうはいっても、ライブドアも、ニッポン放送株を過半数取得し、数を勝ち取ったけど、内部の会社の運営、つまり従業員との関係についてまでは力がなかったから、いわゆる乗っ取りに障害が生じたのでしょうか。株主は、個々の従業員に対してまで口だしする権利はないからね。

原点に戻り。
なぜ、株式会社の仕組みとして、株主がいて、取締役がいるのか。
資本と経営の分離と言われています。
なぜ、そんな制度をとるのか?
株主は出資者であり、経営の素人が多い、経営は経営のプロに依頼し、取締役として舵取りしてもらったらいいという考えです。株主もそれを望んでいるって。
でも、たまに経営に口だししたい株主さんもいるってこと。

あぁ。久しぶりに株式会社の原点の仕組みについて考えてみました。
新会社法よ、どこへ行く。


*以下、自分用のメモ
「訴訟上の信義則の適用が問題となる類型として、学説は一般に、①禁反言、②訴訟状態の不当形成、③訴訟上の権能の失効、④訴訟上の機能の濫用に分類している。」(判タ1176、137頁)

*写真は、去年2004年12月に竣工した、事務所の前にある大阪証券取引所のビルです。ビルの前には、なんと今時、銅像が建てられています。写真は、除幕前のもの。

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